愛用しているマキタの芝生バリカンが最近切れない、とお困りではありませんか。
手軽で便利なバリカンですが、切れ味が落ちると作業効率が下がるだけでなく、大切な芝生を傷つけてしまう原因にもなります。
芝刈りをバリカンで行う際の大変さを感じている方も少なくないでしょう。
この記事では、マキタ芝生バリカンの手入れ方法や切れ味を復活させるための刃研ぎ方法、そして最適な替刃について、専門的な視点から深く掘り下げて解説します。さらに、万が一マキタ芝生バリカンが動かない場合の対処法にも、具体的なチェックポイントを挙げて触れていきます。
- マキタのバリカンが切れない根本的な原因
- 切れ味を復活させる具体的なメンテナンス方法
- バリカンや芝刈り機の製品選びで迷った際の比較ポイント
- 「動かない」といった急なトラブルへの対処法
目次
マキタの芝生バリカン切れない?考えられる原因

- 芝刈りをバリカンで行う際の大変さ
- マキタ芝生バリカンが動かない場合の対処
- 芝刈り機は手動式と電動式のどちらが良いか
- 芝刈り機はリール式とロータリー式のどちらが良いか
- 芝生バリカンのリョービとマキタの比較
- MUM600DSHとMUM601DSHの違いについて
芝刈りをバリカンで行う際の大変さ
芝生バリカンは、大型の芝刈り機では届かない壁際や植木の周り、狭いスペースの芝を刈るのに欠かせない、非常に便利な電動工具です。しかし、その手軽さの裏には、いくつかの無視できない「大変さ」が存在します。これらの課題を事前に理解し、正しく対策を講じることが、効率的で安全な芝生管理、そして美しい景観を維持するための鍵となります。
1. 繊細さが求められる「刈り高の均一性」の維持
芝生バリカンの最大の課題の一つが、刈り高の調整と維持の難しさです。多くのハンディタイプバリカンは、芝刈り機のように車輪で高さを固定するのではなく、作業者が地面からの距離を保って操作する必要があります。一部のモデルには高さを調整するアタッチメント(スライダー)が付属しますが、それでも作業者の力の入れ具合や地面の凹凸によって、意図せず刈り高が変動してしまうケースが頻繁に見られます。
特に注意したいのが、誤って低く刈りすぎる「軸刈り」です。芝生には「成長点(クラウン)」と呼ばれる、新しい芽や葉を生み出す非常に重要な部分があり、これは地際近くに位置しています。
軸刈りはこの成長点まで刈り取ってしまう行為であり、芝生に深刻なダメージを与えます。成長点を失った芝生は再生能力が著しく低下し、部分的に枯れてしまったり、回復までに数週間から数ヶ月を要することもあります。美しい芝生を維持するためには、常に刃の高さを意識し、慎重に操作する熟練が求められます。
軸刈りを防ぐためのコツ
軸刈りを避けるには、一度に深く刈り込もうとせず、数回に分けて少しずつ目的の高さに近づけていくのが基本です。また、バリカンの刃を地面に強く押し付けるのではなく、芝の表面を軽くなでるように滑らせる意識で操作すると、刈り高が安定しやすくなります。常に芝生の成長点を意識した丁寧な作業が、健康な芝を育む第一歩です。
2. 身体への負担を伴う「作業姿勢」の問題
ハンディタイプの芝生バリカンを使用する際は、基本的に中腰や膝をついた姿勢での作業が中心となります。短時間の作業であれば問題ありませんが、庭のキワ全体を手入れするなど、作業が長時間に及ぶと足腰に大きな負担がかかります。特に、日頃あまりしない姿勢を続けることは、筋肉痛や腰痛の直接的な原因となり得ます。
この身体的負担を軽減するため、多くのメーカーではオプションとして延長用のロングハンドルを用意しています。これを装着することで立ったままの楽な姿勢で作業が可能となり、負担は劇的に改善されます。しかし、ハンドル装着によって本体の重心が変わり、取り回しの感覚が変化するため、慣れるまでは操作に少しコツが必要になるかもしれません。
安全な作業のための服装
作業時の服装も重要です。地面に近い位置で高速に動く刃物を扱うため、万が一の接触や飛び石に備え、長ズボンや、つま先が保護された靴を着用することが推奨されます。また、保護メガネは異物の飛散から目を守るために必須のアイテムと言えるでしょう。
3. 追加の手間となる「刈りカスの処理」
芝刈り機と異なり、多くの芝生バリカンには刈った芝を回収するグラスレシーバー(集草ボックス)が付属していません(一部モデルには付属)。そのため、刈った芝はそのまま地面に散らばることになります。この刈りカスを放置してしまうと、美観を損なうだけでなく、芝生の健全な生育を妨げる要因となります。
刈りカスが堆積してできる層は「サッチ」と呼ばれ、これが厚くなると日光や雨水、空気が土壌に届くのを妨げます。結果として、芝生の通気性や透水性が悪化し、病害虫が発生しやすい環境を作り出してしまいます。したがって、バリカンでの作業後には、熊手やほうき、ブロワーなどを使って刈りカスをきれいに清掃するという追加の作業が必ず発生します。
4. 常に意識すべき「刃の取り扱いと安全性」
芝生バリカンの刃は、安全カバーなどはなく、常にむき出しの状態です。高速で往復運動する刃は非常に切れ味が鋭く、少しの不注意が大きな怪我につながる危険性があります。
よくある危険な事例
メンテナンスや清掃時に最も多く見られるのが、バッテリーを接続したまま、あるいは電源コードを繋いだまま刃に触れてしまうという事例です。不意にスイッチが入ってしまった場合、指などを切断する重大な事故につながりかねません。刃に触れる作業を行う前には、必ず電源を完全に遮断する習慣を徹底してください。また、作業中にお子様やペットが不用意に近づかないよう、周囲の環境にも常に気を配る必要があります。
これらの「大変さ」は、芝生バリカンが持つデメリットとも言えます。しかし、それぞれの課題に対して正しい知識と対策を持つことで、リスクを最小限に抑え、その利便性を最大限に引き出すことが可能です。道具の特性を深く理解し、安全で快適なガーデニングを楽しみましょう。
マキタ芝生バリカンが動かない場合の対処

「スイッチを入れても、うんともすんとも言わない…」愛用のマキタ製芝生バリカンが突然動かなくなると、作業が中断してしまうだけでなく、故障ではないかと焦りや不安を感じるものです。しかし、深刻な故障と判断する前に、いくつかの簡単なポイントを確認することで、意外とあっさり復旧するケースは少なくありません。ここでは、ご自身でできるトラブルシューティングの手順を、原因ごとに詳しく解説していきます。
作業前の絶対的な安全確保
これから行う全ての確認作業において、最も重要なのは安全の確保です。不意にバリカンが動き出すことによる事故を防ぐため、以下の操作を必ず実行してください。
- 充電式の場合:本体から必ずバッテリーを取り外す。
- コード式の場合:コンセントから必ず電源プラグを抜く。
このルールを徹底した上で、以降の確認作業に進んでください。
1. 電源系統のチェック - 動力源は正常か?
バリカンが動かない原因として最も多く、そして最初に行うべきなのが電源系統のチェックです。モーターに電力が供給されていなければ、当然動くことはありません。
充電式モデルの場合
- バッテリー残量の確認:非常に基本的なことですが、まずはバッテリーが十分に充電されているかを確認します。長期間使用していなかった場合、自己放電により残量が空になっている可能性があります。一度、満充電にしてみてください。
- バッテリーの装着状態:「カチッ」と音がするまで、バッテリーが本体に確実に装着されているかを確認します。中途半端な装着状態では、接触不良で電力が供給されません。
- 接点(ターミナル)の汚れ:本体とバッテリーの金属接点部分に、土埃やサビ、腐食などが発生していると、接触不良の原因となります。乾いた綺麗な布で優しく拭き取ってください。
リチウムイオンバッテリーの保護機能について
マキタのバッテリーには、バッテリー自身と工具を保護するための「保護機能」が内蔵されています。例えば、過度に負荷がかかる作業を続けると過負荷保護が、バッテリーが空に近い状態で無理に使い続けると過放電保護が働き、一時的に電力供給を停止することがあります。この場合、一度バッテリーを本体から外し、少し時間をおいてから再度装着したり、充電したりすることで復旧することがあります。(参照:株式会社マキタ 公式サイト)
コード式モデルの場合
- コンセントとプラグの接続:電源プラグが壁のコンセントや延長コードにしっかりと差し込まれているか、再度確認します。
- 延長コードの断線:特に長く使用している延長コードは、内部で断線している可能性があります。可能であれば、別の延長コードで試すか、バリカンを直接壁のコンセントに接続して動くかを確認してみてください。
- 電圧降下の可能性:推奨されている太さよりも細い、あるいは非常に長い延長コードを使用すると「電圧降下」が発生し、バリカンを駆動させるのに十分な電力が供給されず、動かない、あるいはパワーが極端に弱いといった症状が出ることがあります。
2. 機械系統のチェック - 刃の動きが妨げられていないか?
電源に問題がない場合、次に疑うべきは刃の周辺に物理的な問題が発生していないかという点です。
異物の噛み込みと固着
作業中に小石や針金、太すぎる枝などを噛み込んでしまうと、モーターに過大な負荷がかかり、保護機能が働いて緊急停止します。刃の間に何かが挟まっていないか、念入りに確認してください。また、芝の汁(ヤニ)や泥が刃の駆動部分で固着し、接着剤のように刃の動きをロックしてしまっている場合もあります。この場合は、後述する刃の清掃・手入れを行うことで解決します。
内部部品の脱落・組み付けミス
ご自身で刃の交換や清掃など、分解を伴うメンテナンスを行った後に動かなくなった場合、部品の組み付けミスや脱落が強く疑われます。
最重要チェックポイント:「頭付ピン」
特に見落とされがちなのが、「頭付ピン(ずつきぴん)」と呼ばれる小さな部品です。これは、モーターの回転運動を刃の往復運動に変換するクランク部分と、上刃を繋ぐ重要な役割を担っています。非常に小さいため、分解時に気づかずに落として紛失したり、正しい位置にはめ忘れたりするケースが後を絶ちません。このピンがなければ、モーターが空回りするだけで刃は全く動かず、「動かない」という症状になります。分解メンテナンス後は、必ずこの部品が所定の位置に収まっているかを確認してください。
3. それでも動かない場合 - 修理の相談
上記のすべての項目を確認しても症状が改善しない場合、モーター本体の故障、スイッチの不具合、内部配線の断線といった、専門的な修理が必要な問題である可能性が高いです。無理にそれ以上分解しようとすると、状態を悪化させたり、感電などの危険を伴ったりする可能性があります。
速やかに作業を中断し、製品を購入した販売店、または最寄りのマキタ営業所に相談し、修理を依頼することをおすすめします。その際、いつ頃から、どのような状況で動かなくなったのかを具体的に伝えると、診断がスムーズに進みます。
芝刈り機は手動式と電動式のどちらが良いか

芝生バリカンがキワ刈りや細部の仕上げを得意とする一方、庭の広い面積を効率よく刈り揃える主役は、やはり「芝刈り機」です。そして、芝刈り機を選定する上で最も基本的かつ重要な分岐点が、その動力源、すなわち「手動式」と「電動式」のどちらを選択するかという点です。この選択は、今後の芝生管理の労力、コスト、そしてライフスタイルそのものに大きく影響を与えます。それぞれの特性を深く理解し、ご自身の庭の環境や価値観に最適な一台を見つけましょう。
先に結論を述べると、お庭の面積が10坪(約33平方メートル)未満で、作業を運動の一環として楽しめる方であれば手動式は素晴らしい選択肢となります。しかし、それ以上の広さがある場合や、時間と労力をかけずに効率を重視したい場合には、電動式が強く推奨されます。
昔ながらの魅力と限界「手動式芝刈り機」
手動式芝刈り機は、その名の通り、人が押す力を動力源として円筒状のリール刃を回転させ、芝を刈り取る機械です。一見すると旧式な道具に見えますが、現代においても多くの愛好家を持つ、確かな魅力と利点が存在します。
手動式のメリット
- 圧倒的な静音性:最大のメリットは、モーター音が存在しないことによる静かさです。作動音はリール刃が回転する「シャリシャリ」という心地よい音のみで、その音量は約60dB(デシベル)程度と、日常会話と変わりません。そのため、早朝や夕方など、ご近所に気兼ねなく作業できる点は大きな魅力です。
- 経済性:本体価格が1万円前後からと、電動式に比べて非常に安価です。加えて、電気代や燃料代といったランニングコストが一切かからず、シンプルな構造ゆえに故障が少ないため、長期的に見ても非常に経済的です。
- 手軽さと環境性能:電源コードの準備やバッテリーの充電といった手間がなく、思い立った時にすぐ作業を始められます。また、CO2を排出しないため、環境にも優しい選択と言えます。
手動式のデメリットと注意点
- 身体的な労力:当然ながら、押して進むための体力が必要です。平坦で整った芝生であればそれほど苦になりませんが、地面に凹凸があったり、傾斜があったりすると、その負担は増大します。
- 作業時間:刈り幅にもよりますが、電動式に比べて作業ペースは遅くなります。美しい芝生を維持するには定期的な作業が必要なため、その時間を確保できるかが一つの判断基準となります。
- 伸びすぎた芝は苦手:手動式は、リール刃で芝を挟み込んで切る構造上、芝が長く伸びすぎていると刃が芝に乗り上げてしまい、うまく刈り取ることができません。「こまめに刈る」ことが前提となるため、芝刈りの頻度が低い方には不向きです。
パワーと効率の「電動式芝刈り機」
電動式芝刈り機は、モーターの力を利用して刃を回転させるため、作業者の負担を大幅に軽減し、短時間で広範囲の芝を刈ることが可能です。現代の芝生管理においては主流の選択肢となっています。
電動式のメリット
- 圧倒的な効率性:モーターの力で刃が高速回転するため、手動式とは比較にならないスピードで作業が進みます。特に、モーターの力で前に進む「自走式」のモデルを選べば、作業者は方向を操作するだけでよく、押す力さえほとんど必要ありません。
- パワフルな刈り取り能力:多少伸びてしまった芝や、密度が高い芝でも、モーターのパワーで力強く刈り進めることができます。仕上がりも均一になりやすく、初心者でもプロのような美しい刈り跡を目指せます。
電動式のデメリットと注意点
- 作動音:モーターを搭載しているため、作動音は80dBを超えるモデルが多く、これは掃除機や交通量の多い道路脇の騒音に匹敵します。そのため、住宅密集地では作業を行う時間帯に配慮が必要です。
- コスト:本体価格が2万円台から、高性能なモデルになると10万円を超えるものまであり、手動式に比べて初期投資は大きくなります。また、電気代や、充電式の場合は将来的なバッテリー交換費用も考慮する必要があります。
- メンテナンス:動力部がある分、手動式よりもメンテナンスは複雑になります。特に、後述するコードの管理やバッテリーの適切な保管が、長く快適に使うための重要なポイントとなります。
電動式の中の「コード式」と「充電式」
電動式には、コンセントから給電する「コード式」と、内蔵バッテリーで駆動する「充電式」が存在します。コード式はパワーが安定し、時間を気にせず作業できる反面、常にコードの取り回しと誤切断のリスクに注意が必要です。一方、充電式はコードレスで圧倒的に手軽ですが、稼働時間に制限があり、予備バッテリーがないと作業が中断する可能性があります。また、バッテリーの分だけ重量が増加します。
種類 | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|
手動式 | ・価格が安い ・電源不要でどこでも使える ・騒音が少なく早朝でも作業しやすい ・維持費がほとんどかからない |
・体力を消耗する ・広い面積の芝刈りは時間がかかる ・芝が伸びすぎると刈りにくい |
・運動を兼ねて芝刈りをしたい方 ・お庭の面積が10坪未満の方 ・騒音を気にせず作業したい方 |
電動式 | ・力を使わずに楽に芝刈りができる ・作業時間が短縮できる ・仕上がりが均一になりやすい |
・価格が高め ・作動音が大きい ・メンテナンスが必要(コード管理や充電) |
・広いお庭をお持ちの方 ・体力に自信がない、楽に作業したい方 ・作業効率を重視する方 |
最終的にどちらを選ぶかは、ご自身の芝生の広さ、予算、そして芝生管理にかけられる時間と労力を総合的に判断して決定することが重要です。それぞれの長所と短所を理解し、ご自身のガーデニングスタイルに合った、後悔のない選択をしてください。
芝刈り機はリール式とロータリー式のどちらが良いか

芝刈り機の動力源(手動式/電動式)が決まったら、次に目を向けるべき最も重要な要素が「刃の方式」です。芝刈り機の刃には、大きく分けて「リール式」と「ロータリー式」の2種類が存在し、この方式の違いが芝生の切り口、ひいては芝生全体の美観と健康状態を決定づけると言っても過言ではありません。ご自身が目指す理想の芝生の姿を思い描きながら、それぞれの特性を深く理解していきましょう。
先に結論を示すと、ゴルフ場のグリーンのような、葉へのダメージが少ない緻密で美しい仕上がりを追求するならば「リール式」が最適です。一方で、メンテナンスの手軽さや、多少伸びてしまった芝や雑草もパワフルに刈り取りたいという実用性を重視するならば「ロータリー式」が適しています。
精密な切れ味で芝を美しく仕上げる「リール式」
リール式芝刈り機は、らせん状に並んだ複数枚の円筒形の刃(リール刃)と、下部に固定された一枚の刃(ベッドナイフ)で構成されています。リール刃が回転することで、芝をリール刃とベッドナイフの間に挟み込み、まるでハサミで切るかのようにスパッと切断します。この切断方式は「剪断(せんだん)」と呼ばれ、リール式の最大の特徴となっています。
リール式のメリット
- 圧倒的に美しい切り口:剪断方式による切り口は非常にシャープで、芝の細胞破壊を最小限に抑えます。これにより、葉先からの水分の過度な蒸発や、切り口からの病原菌の侵入リスクが低減され、芝生が健康な状態を保ちやすくなります。刈り跡が茶色く変色しにくいのも大きな利点です。
- 低刈りが得意:構造的に刃を低い位置に設定できるため、5mm程度の低刈りにも対応できるモデルが存在します。密度が高く、絨毯のような美しい芝生(ベントグラスなど)を目指す本格的な管理には、リール式が不可欠とされています。
- 静音性の高さ(手動式の場合):手動式モデルの多くがこのリール式を採用しており、その静かな作動音は大きな魅力です。
刃の枚数と仕上がりの関係
リール式の刃の枚数(通常は5枚刃や6枚刃など)は、仕上がりの美しさに影響します。一般的に、刃の枚数が多いほど、一度の回転で刈り込む回数が増えるため、より細かく、均一で美しい仕上がりになります。
リール式のデメリットと注意点
- 障害物への弱さ:リール刃とベッドナイフの隙間(クリアランス)は、紙一枚分程度の非常に精密な間隔で調整されています。そのため、小石や木の枝などの硬い異物を噛み込んでしまうと、刃が欠けたり、歪んだりして切れ味が著しく低下する原因となります。リール式で作業する前には、レーキをかけるなどして、芝生上の異物を丁寧に取り除いておくことが非常に重要です。
- 専門的なメンテナンス:最高の切れ味を維持するためには、定期的な刃の研磨(ラッピング)や、前述のクリアランス調整といった、やや専門的なメンテナンスが必要になる場合があります。
- 長すぎたり、柔らかすぎる芝は苦手:芝が長く伸びすぎていると、刃が芝を巻き込まずに上を滑って倒してしまうことがあります。また、葉が柔らかすぎる芝種も同様に苦手とする傾向があります。
パワフルさと手軽さが魅力の「ロータリー式」
ロータリー式芝刈り機は、本体下部で水平に設置された一枚の金属刃(バーナイフ)を、モーターやエンジンの力で高速回転させ、その遠心力で芝を刈り払う方式です。家庭用のエンジン式草刈り機と同じ原理であり、その一番の魅力はパワフルさとシンプルな構造にあります。
ロータリー式のメリット
- パワフルな刈り取り能力:高速回転する刃が、伸びすぎてしまった芝や、茎の硬い雑草なども力強く刈り取ります。芝刈りの頻度が不定期になりがちな方や、芝生以外の場所もまとめて処理したい場合に非常に頼りになります。
- メンテナンスの容易さ:刃は基本的に一枚のバーナイフなので、取り外しが非常に簡単です。レンチ一本でボルトを緩めるだけで刃を着脱でき、ご自身での研磨や交換作業も手軽に行えます。
- 比較的安価:構造がシンプルなため、リール式に比べて本体価格が安価なモデルが多いのも特徴です。
ロータリー式のデメリットと注意点
- 切り口の粗さ:芝を「叩き切る」方式のため、どうしても切り口の細胞が潰れてギザギザになりがちです。これにより、刈り跡が白っぽく見えたり、葉先が茶色く枯れ込んだりすることがあります。芝生の美観に徹底的にこだわりたい方には、この点が最大のネックとなる可能性があります。
- 低刈りが不得意:構造上、刃を地面ギリギリまで下げることが難しく、無理に低く設定すると地面を削ってしまう「スキャルピング」を起こしやすいです。また、回転の力で芝を根から引き抜いてしまうリスクもあります。
種類 | 切れ味・仕上がり | 得意なこと | 不得意なこと | 価格帯 |
---|---|---|---|---|
リール式 | ◎ 非常に綺麗(ハサミで切る) | ・低刈りで緻密な芝生作り ・葉へのダメージが少ない |
・伸びすぎた芝 ・石などの障害物 ・専門的なメンテナンス |
やや高価 |
ロータリー式 | △ やや粗い(叩き切る) | ・伸びた芝や雑草の処理 ・メンテナンスが楽 |
・繊細な低刈り ・切り口の美しさ |
比較的安価 |
では、芝生バリカンはどちらのタイプ?
ここで、この記事の主役である芝生バリカンの方式を確認しておきましょう。芝生バリカンは、上下2枚のギザギザの刃を高速で左右に往復させ、その間に芝を挟んで切断します。これは、リール式と同じ「剪断」の原理に基づいています。そのため、芝生バリカンはキワ刈りや細部の仕上げにおいても、芝生へのダメージが少ない、理にかなった切断方法を採用しているのです。広範囲の作業は芝刈り機で効率的に行い、細部は芝生に優しいバリカンで丁寧に仕上げる。この組み合わせが、理想の芝生への近道と言えるでしょう。
芝生バリカンのリョービとマキタの比較

芝生バリカンの購入を検討する際、多くの人が比較の対象とするのが、電動工具業界を牽引する二大ブランド「マキタ」と「リョービ(現在は京セラインダストリアルツールズが事業を承継)」です。どちらのメーカーも長年にわたり高品質な製品を供給し続けており、それぞれに独自の強みと製品哲学が存在します。このセクションでは、両社の特徴を多角的に掘り下げ、あなたが最適な一台を選ぶための判断材料を詳しく提供します。
総合的に見ると、既に他のマキタ製品を持っている方や、プロ仕様の耐久性と拡張性を求めるなら「マキタ」が優位です。一方で、初めて芝生バリカンを購入する方や、使いやすさとコストパフォーマンスを重視するなら「リョービ(京セラ)」が非常に魅力的な選択肢となります。
マキタ (Makita) - プロが認める品質と圧倒的なバッテリーエコシステム
株式会社マキタは、プロ向けの充電式電動工具において世界トップクラスのシェアを誇る、日本を代表するメーカーです。建設現場などの過酷な環境で培われた高い技術力と耐久性は、園芸用工具にも惜しみなく投入されており、その品質は多くのユーザーから絶大な信頼を得ています。
マキタの強みと特徴
- プロ仕様の耐久性とパワー:マキタ製品の最大の魅力は、その堅牢な作りとパワフルなモーター性能にあります。高負荷な作業を長時間続けても性能が落ちにくい設計は、プロの現場で鍛えられた技術の賜物です。一部の上位モデルには、屋外での厳しい環境に対応する防滴・防じん構造「アプト(APT)」が採用されており、急な天候の変化にも強い耐久性を誇ります。
- 圧倒的なバッテリーエコシステム:マキタを選ぶ最大の理由とも言えるのが、共通バッテリーで対応する製品群の豊富さ、すなわち「バッテリーエコシステム」の強さです。10.8V、14.4V、18V、40Vmaxといった電圧ごとにシリーズが展開されており、同じ電圧のバッテリーであれば、芝生バリカンからインパクトドライバー、掃除機、ブロワー、さらにはコーヒーメーカーや扇風機に至るまで、数百種類以上もの製品でバッテリーを使い回すことが可能です。
マキタユーザーなら「本体のみ」購入がお得
もしあなたが既に何らかのマキタ製充電式工具(同じ電圧シリーズ)をお持ちであれば、バッテリーと充電器が付属しない「本体のみ」の製品を購入することで、初期投資を大幅に抑えることができます。これは、他のメーカーにはないマキタならではの大きなアドバンテージです。
- 幅広い製品ラインナップ:プロ向けの高性能モデルから、家庭での使用に十分な機能を備えたエントリーモデルまで、幅広いニーズに応える製品が揃っています。
リョービ (RYOBI / 京セラ) - 利用者目線の機能性と卓越したコストパフォーマンス
リョービ株式会社の電動工具事業は、2018年に京セラグループに承継され、現在は「京セラインダストリアルツールズ株式会社」が開発・製造を行っています。長年培われたリョービのブランド力と、京セラの持つ高い技術力が融合し、特にDIYや家庭用ガーデニングの分野で高い評価を得ています。
リョービ(京セラ)の強みと特徴
- 卓越したコストパフォーマンス:リョービ(京セラ)製品の大きな魅力は、その価格設定にあります。同等クラスの性能を持つマキタ製品と比較した場合、比較的安価に購入できるモデルが多く、これからガーデニングツールを揃えたい初心者の方にとって、非常に魅力的な選択肢となっています。
- ユーザーフレンドリーな独自機能:利用者の「あったらいいな」を形にする、かゆい所に手が届くユニークな機能開発が非常に得意です。例えば、壁や構造物を傷つけることなくギリギリまで刈れる「キワ刈りガイド」や、刃の交換が工具なしで行えるツールレス機構、立ったままの楽な姿勢で作業ができる「ポールバリカン」など、実際の使用シーンを想定した便利な機能が数多く搭載されています。
- 入手性の高さ:全国のホームセンターで広く取り扱われているため、実際に製品を手に取って確認したり、消耗品やアクセサリーを購入したりしやすい点も、利用者にとっては大きなメリットです。
メーカー | 特徴 | メリット | どんな人におすすめ |
---|---|---|---|
マキタ | ・プロ品質で高耐久 ・圧倒的なバッテリーの汎用性(エコシステム) |
・1つのバッテリーを数百種類の工具で使い回せる ・パワフルで過酷な使用にも耐えうる信頼性 ・防滴・防じんモデルなどタフな製品も多い |
・既に同電圧のマキタバッテリーを持っている方 ・複数の電動工具を同じバッテリーで統一したい方 ・長く使える高耐久な製品を求める本格派の方 |
リョービ (京セラ) | ・高いコストパフォーマンス ・利用者の使いやすさを追求した便利な独自機能が豊富 |
・同等性能の製品を比較的安価に購入できる ・キワ刈りガイドなど、実際の作業で役立つ機能が多い ・ホームセンターなどで入手しやすい |
・初めて芝生バリカンを購入する方 ・初期投資を抑えたい方 ・価格と機能のバランスを重視する堅実派の方 |
最終的にどちらのメーカーを選ぶかは、あなたの現在の状況と、これからどのように工具を揃えていきたいかという将来的なビジョンによって決まります。もし、あなたが既に「マキタ沼」と呼ばれる広大なエコシステムの一員なのであれば、選択に迷う必要は少ないでしょう。
一方で、純粋に芝生バリカンという一つの道具として、コストと機能のバランスを評価するならば、リョービ(京セラ)は非常に賢明な選択となります。両社のウェブサイトやカタログを見比べ、ご自身のガーデニングスタイルに寄り添ってくれる一台をじっくりと選んでみてください。
MUM600DSHとMUM601DSHの違いについて

マキタの芝生バリカンを選ぼうと決めたユーザーが、次によく直面するのが「品番が非常に似ていて、どちらを選べば良いのかわからない」という問題です。特に、充電式芝生バリカンの人気モデルである「MUM600DSH」と「MUM601DSH」は、見た目もスペック表も酷似しており、初心者にとっては混乱の元となりがちです。
しかし、この2つのモデルには明確な違いがあり、その違いがあなたの作業スタイルや今後の工具計画に大きく影響します。ここでは、両者の違いを徹底的に比較・解説し、あなたのための最適な選択をサポートします。
結論:最大かつ唯一の違いは「バッテリー電圧」
まず結論から申し上げると、MUM600DSHとMUM601DSHの性能を分ける根本的な違いは、使用するバッテリーの「電圧(V)」です。これ以外の基本的なカッティング性能(刈込幅やストローク数など)は、両モデルで共通となっています。
両モデルの電圧の違い
- MUM600DSH:10.8Vのスライド式バッテリーを使用します。
- MUM601DSH:14.4Vのバッテリーを使用します。
刈込幅(160mm)、刈込み高さ(3段階:15, 20, 25mm)、ストローク数(1,250回/分)といった基本的な仕様は同一です。(参照:マキタ公式サイト MUM600DSH製品ページ, MUM601DSH製品ページ)
「たったそれだけの違いか」と思われるかもしれませんが、この電圧の違いが、実際の作業におけるパワー、持続時間、そして重量感といった使用感に直接的な差となって現れます。
電圧の違いがもたらす具体的な性能差
電圧は、電気製品の「仕事の強さ(パワー)」に直結する要素です。一般的に、電圧が高いほどより大きなパワー(トルク)を生み出すことができます。この差が、芝刈りという作業においてどのような影響を与えるのでしょうか。
1. パワーと粘り強さ
14.4VのMUM601DSHは、10.8VのMUM600DSHに比べて、よりパワフルな駆動が可能です。これは、密度が高く密集して生えている芝生や、少し硬めの茎を持つ種類の芝(野芝など)を刈り込む際に、その差が顕著に現れます。刃への抵抗が大きくなる場面でも、モーターが粘り強く回転し続けるため、失速しにくく、スムーズな作業を維持できます。また、バッテリー残量が少なくなってきた際の「粘り強さ」にも差が出ると言われています。
一方、10.8VのMUM600DSHも、一般的な家庭の庭で美しく管理された芝生(高麗芝など)を手入れするには全く問題のない、十分なパワーを備えています。過度に密集した場所や、伸び放題になった芝を処理するのでなければ、力不足を感じる場面は少ないでしょう。
2. 1充電あたりの作業時間
バッテリーの持続時間は、電圧(V)と容量(Ah)を掛け合わせた電力(Wh)で決まります。仮に同じ容量(例:1.5Ah)のバッテリーを使用した場合、電圧が高い14.4VのMUM601DSHの方が、より多くのエネルギーを蓄えていることになり、理論上はより長い時間の作業が可能です。
マキタの公式データによると、1充電あたりの連続運転時間(目安)は以下の通りです。
- MUM600DSH (10.8V / 1.5Ah):約35分
- MUM601DSH (14.4V / 1.5Ah):約40分
わずかな差に見えますが、広いお庭を手入れする際には、この差が作業の中断を減らす上で重要になることがあります。
3. 重量と取り回し
パワーや作業時間で有利な14.4Vバッテリーですが、その分10.8Vバッテリーよりもサイズが大きく、重くなる傾向があります。バッテリー装着時の質量を比較すると、
- MUM600DSH (BL1015装着時):1.2kg
- MUM601DSH (BL1415G装着時):1.4kg
となり、約200gの差があります。このわずかな重量差が、長時間の作業、特に腕を伸ばして行うキワ刈りなどでは、疲労感の違いとなって感じられる可能性があります。取り回しの軽さや手軽さを最優先するならば、10.8VのMUM600DSHに分があります。
【結論】あなたの状況に合わせた最適な選び方
最終的にどちらのモデルを選ぶべきか、その最も重要な判断基準は、あなたの「現在のバッテリー資産」です。
選び方の最優先事項
もしあなたが既にマキタの10.8V、あるいは14.4Vシリーズの充電式工具(バッテリーと充電器)をお持ちであれば、その電圧に合ったモデルの「本体のみ」を購入することが、最も経済的で合理的な選択です。わざわざ電圧の異なるシリーズを新たに導入する必要性はほとんどありません。
もし、あなたがマキタ製品を初めて購入するのであれば、以下のシナリオを参考にしてください。
- 軽さ・手軽さ重視派 → MUM600DSH (10.8V)
「作業は主に庭のキワ刈りや小さな面積の補修が中心」「少しでも軽い方がいい」「他の10.8Vシリーズのコンパクトな工具(掃除機など)にも興味がある」という方におすすめです。 - パワー・汎用性重視派 → MUM601DSH (14.4V)
「芝生の密度が高い、または面積が比較的広い」「パワー不足でストレスを感じたくない」「今後、DIYなどでよりパワフルな14.4Vシリーズの工具(インパクトドライバーなど)を揃える可能性がある」という方におすすめです。
項目 | MUM600DSH | MUM601DSH |
---|---|---|
電圧 | 10.8V (スライド式) | 14.4V (ライトバッテリ) |
刈込幅 | 160mm | |
刈込み高さ | 15, 20, 25mm (3段階) | |
ストローク数 | 1,250回/分 | |
連続運転時間(目安) | 約35分 (BL1015使用時) | 約40分 (BL1415G使用時) |
質量(バッテリー装着時) | 1.2kg (BL1015使用時) | 1.4kg (BL1415G使用時) |
両モデルの違いを正しく理解し、ご自身の使い方や将来の拡張性を見据えて、最適な一台を選んでください。
マキタの芝生バリカン切れない時の解決策

- マキタ芝生バリカンの手入れ方法
- マキタ芝生バリカンの刃研ぎ方法
- マキタ芝生バリカンの替刃について
- おすすめの芝生バリカン
- マキタ芝生バリカンの手入れ方法
- マキタ芝生バリカンの刃研ぎ方法
- マキタ芝生バリカンの替刃について
- おすすめの芝生バリカン
マキタ芝生バリカンの手入れ方法
「マキタの芝生バリカンの切れ味が落ちてきた…」と感じる場合、その原因の多くは日々の蓄積された汚れや潤滑不足にあります。深刻な故障や刃の寿命と判断する前に、まずは基本に立ち返り、適切な「手入れ」を行うことで、驚くほど切れ味が回復するケースは少なくありません。ここでは、バリカンの性能を常に最高の状態で維持し、その寿命を最大限に延ばすための、具体的かつプロフェッショナルな手入れ方法を3つのステップに分けて徹底解説します。この「予防メンテナンス」こそが、結果的に修理や買い替えのコストを抑える最も賢明な投資となります。
ステップ1:使用後の「即時清掃」- 汚れの固着を防ぐ
芝刈り作業後、つい疲れて後片付けを翌日に回したくなるかもしれませんが、バリカンの手入れにおいて最も重要なのは「作業後すぐに行うこと」です。なぜなら、刃に付着した芝の汁(ヤニ)や土埃は、時間が経つと乾燥して硬く固着し、簡単には除去できなくなってしまうからです。
特に芝のヤニは、植物由来の樹脂やセルロースを含んでおり、これが乾燥すると強力な接着剤のように刃をコーティングしてしまいます。固着したヤニは刃の滑りを著しく悪化させ、切れ味の低下、モーターへの負荷増大、そしてサビの温床となる、まさに「百害あって一利なし」の存在です。
清掃手順のゴールデンルール
- 【安全確保】バッテリーの取り外し:清掃を始める前に、必ず本体からバッテリーを抜いてください。これは、いかなる作業においても最優先されるべき絶対のルールです。
- 【大まかな汚れ除去】ブラシで掃う:ナイロンブラシや使い古しの歯ブラシなどを使い、刃の隙間や本体カバー周辺に詰まった芝のカスや土を丁寧にかき出します。
- 【ヤニの除去】刃物クリーナーの活用:固着したヤニや頑固な汚れには、刃物専用のクリーナーが絶大な効果を発揮します。クリーナーを刃全体に吹き付け、製品の指示に従って数分間放置し、汚れを化学的に分解させます。
- 【拭き取り】ウエスで丁寧に:汚れが浮き上がってきたら、乾いた綺麗な布(ウエス)で丹念に拭き取ります。刃の表裏だけでなく、刃と刃が重なり合う隙間まで、しっかりと清掃しましょう。
ステップ2:切れ味と寿命を延ばす「注油・防錆」
清掃によって綺麗になった刃は、いわば「無防備な」状態です。このまま放置すると、空気中の湿気ですぐにサビが発生してしまいます。そこで不可欠となるのが、刃を保護するための「注油」です。注油には、刃の滑りを良くする「潤滑」と、サビの発生を防ぐ「防錆」という2つの重要な目的があります。
使用するオイルの選び方
注油には、サラサラとしてホコリを呼びにくい専用のオイルが適しています。一般的に入手しやすいものとしては、ミシン油や自転車用のチェーンオイル、またはマキタ純正の刃物用潤滑油などが推奨されます。一方で、CRC-556のような浸透性の高い潤滑剤は、一時的な効果は高いものの、粘度が低く流れやすいため、効果が長持ちしにくい側面があります。また、汚れを吸着しやすい性質もあるため、刃物専用のオイルを選ぶのが最善です。
正しい注油のコツ
オイルは、刃の表裏、そして刃と刃が擦れ合う接触面に、数滴垂らすか、薄くスプレーします。その後、電源を入れずに手で刃を数回動かして(製品の構造上可能な場合)、オイルを全体に行き渡らせるのがポイントです。塗りすぎは、かえって土埃を付着させる原因となるため、余分なオイルはウエスで軽く拭き取っておきましょう。このひと手間が、次回の使用時の快適な切れ味を約束します。
ステップ3:内部機構を守る「グリスアップ」
日々の清掃と注油が「日常的な健康管理」だとすれば、定期的に行うべき「人間ドック」にあたるのが、分解を伴う内部のグリスアップです。バリカンの刃を高速で往復運動させているのは、モーターの回転を変換する内部のギアやクランク機構です。これらの金属部品がスムーズに動き、摩耗するのを防いでいるのが「グリス(潤滑油の一種)」です。
グリスアップは分解作業です
グリスアップには本体カバーや刃の分解が必要です。ご自身の作業に不安がある場合や、保証期間内である場合は、無理をせず販売店やメーカーにメンテナンスを依頼することをお勧めします。作業を行う際は、必ず取扱説明書を参照し、部品をなくさないようトレーなどを用意して行ってください。
グリスアップのタイミングと手順
グリスアップは、刃を交換するタイミングや、年に一度のシーズンオフのメンテナンスとして行うのが理想的です。
- 【分解】:安全を確保した上で、取扱説明書に従い本体カバーと刃を取り外します。
- 【清掃】:内部のギア部分に付着している黒ずんだ古いグリスを、ウエスやパーツクリーナーを使って綺麗に拭き取ります。古いグリスには摩耗した金属粉などが混ざっているため、丁寧に取り除くことが重要です。
- 【塗布】:新しいグリスをギアの歯や摺動部に適量(一般的には米粒大程度)塗布します。グリスの種類としては、耐熱性や耐圧性に優れたリチウムグリスや万能グリスが適しています。
- 【組立】:部品の向きやはめ忘れがないか、慎重に確認しながら元の状態に組み立てます。
この一連の手入れを習慣づけることで、あなたのマキタ製芝生バリカンは、常に最高のパフォーマンスを発揮し、長く信頼できるパートナーであり続けるでしょう。
マキタ芝生バリカンの手入れ方法

「マキタの芝生バリカンの切れ味が落ちてきた…」と感じる場合、その原因の多くは日々の蓄積された汚れや潤滑不足にあります。深刻な故障や刃の寿命と判断する前に、まずは基本に立ち返り、適切な「手入れ」を行うことで、驚くほど切れ味が回復するケースは少なくありません。ここでは、バリカンの性能を常に最高の状態で維持し、その寿命を最大限に延ばすための、具体的かつプロフェッショナルな手入れ方法を3つのステップに分けて徹底解説します。この「予防メンテナンス」こそが、結果的に修理や買い替えのコストを抑える最も賢明な投資となります。
ステップ1:使用後の「即時清掃」- 汚れの固着を防ぐ
芝刈り作業後、つい疲れて後片付けを翌日に回したくなるかもしれませんが、バリカンの手入れにおいて最も重要なのは「作業後すぐに行うこと」です。なぜなら、刃に付着した芝の汁(ヤニ)や土埃は、時間が経つと乾燥して硬く固着し、簡単には除去できなくなってしまうからです。
特に芝のヤニは、植物由来の樹脂やセルロースを含んでおり、これが乾燥すると強力な接着剤のように刃をコーティングしてしまいます。固着したヤニは刃の滑りを著しく悪化させ、切れ味の低下、モーターへの負荷増大、そしてサビの温床となる、まさに「百害あって一利なし」の存在です。
清掃手順のゴールデンルール
- 【安全確保】バッテリーの取り外し:清掃を始める前に、必ず本体からバッテリーを抜いてください。これは、いかなる作業においても最優先されるべき絶対のルールです。
- 【大まかな汚れ除去】ブラシで掃う:ナイロンブラシや使い古しの歯ブラシなどを使い、刃の隙間や本体カバー周辺に詰まった芝のカスや土を丁寧にかき出します。
- 【ヤニの除去】刃物クリーナーの活用:固着したヤニや頑固な汚れには、刃物専用のクリーナーが絶大な効果を発揮します。クリーナーを刃全体に吹き付け、製品の指示に従って数分間放置し、汚れを化学的に分解させます。
- 【拭き取り】ウエスで丁寧に:汚れが浮き上がってきたら、乾いた綺麗な布(ウエス)で丹念に拭き取ります。刃の表裏だけでなく、刃と刃が重なり合う隙間まで、しっかりと清掃しましょう。
ステップ2:切れ味と寿命を延ばす「注油・防錆」
清掃によって綺麗になった刃は、いわば「無防備な」状態です。このまま放置すると、空気中の湿気ですぐにサビが発生してしまいます。そこで不可欠となるのが、刃を保護するための「注油」です。注油には、刃の滑りを良くする「潤滑」と、サビの発生を防ぐ「防錆」という2つの重要な目的があります。
使用するオイルの選び方
注油には、サラサラとしてホコリを呼びにくい専用のオイルが適しています。一般的に入手しやすいものとしては、ミシン油や自転車用のチェーンオイル、またはマキタ純正の刃物用潤滑油などが推奨されます。一方で、CRC-556のような浸透性の高い潤滑剤は、一時的な効果は高いものの、粘度が低く流れやすいため、効果が長持ちしにくい側面があります。また、汚れを吸着しやすい性質もあるため、刃物専用のオイルを選ぶのが最善です。
正しい注油のコツ
オイルは、刃の表裏、そして刃と刃が擦れ合う接触面に、数滴垂らすか、薄くスプレーします。その後、電源を入れずに手で刃を数回動かして(製品の構造上可能な場合)、オイルを全体に行き渡らせるのがポイントです。塗りすぎは、かえって土埃を付着させる原因となるため、余分なオイルはウエスで軽く拭き取っておきましょう。このひと手間が、次回の使用時の快適な切れ味を約束します。
ステップ3:内部機構を守る「グリスアップ」
日々の清掃と注油が「日常的な健康管理」だとすれば、定期的に行うべき「人間ドック」にあたるのが、分解を伴う内部のグリスアップです。バリカンの刃を高速で往復運動させているのは、モーターの回転を変換する内部のギアやクランク機構です。これらの金属部品がスムーズに動き、摩耗するのを防いでいるのが「グリス(潤滑油の一種)」です。
グリスアップは分解作業です
グリスアップには本体カバーや刃の分解が必要です。ご自身の作業に不安がある場合や、保証期間内である場合は、無理をせず販売店やメーカーにメンテナンスを依頼することをお勧めします。作業を行う際は、必ず取扱説明書を参照し、部品をなくさないようトレーなどを用意して行ってください。
グリスアップのタイミングと手順
グリスアップは、刃を交換するタイミングや、年に一度のシーズンオフのメンテナンスとして行うのが理想的です。
- 【分解】:安全を確保した上で、取扱説明書に従い本体カバーと刃を取り外します。
- 【清掃】:内部のギア部分に付着している黒ずんだ古いグリスを、ウエスやパーツクリーナーを使って綺麗に拭き取ります。古いグリスには摩耗した金属粉などが混ざっているため、丁寧に取り除くことが重要です。
- 【塗布】:新しいグリスをギアの歯や摺動部に適量(一般的には米粒大程度)塗布します。グリスの種類としては、耐熱性や耐圧性に優れたリチウムグリスや万能グリスが適しています。
- 【組立】:部品の向きやはめ忘れがないか、慎重に確認しながら元の状態に組み立てます。
この一連の手入れを習慣づけることで、あなたのマキタ製芝生バリカンは、常に最高のパフォーマンスを発揮し、長く信頼できるパートナーであり続けるでしょう。
マキタ芝生バリカンの刃研ぎ方法

日々の丁寧な手入れを行っていても、金属である刃は使用するたびに僅かずつ摩耗し、切れ味は徐々に低下していきます。これは道具として避けられない宿命です。切れ味が悪くなったと感じた時、多くの方は「替刃への交換」を検討しますが、もう一つの選択肢として「刃を研ぎ直す(研磨する)」という方法があります。適切な工具と手順を理解すれば、ご自身の手で新品に近い切れ味を復活させることが可能です。これは、コストを抑えられるだけでなく、道具への愛着を一層深めることができる、非常に価値のあるメンテナンス作業です。
ただし、刃研ぎは一定のスキルと精度が求められる作業でもあります。このセクションでは、安全を最優先とした上で、初心者でも挑戦できるよう、その具体的な手順と重要なコツを詳しく解説していきます。
刃研ぎが必要なサインとは?
切れ味が低下すると、単に作業効率が落ちるだけではありません。芝生にとっても深刻なダメージとなります。以下のようなサインが見られたら、刃研ぎもしくは刃の交換を検討するタイミングです。
- 芝の切り口が白っぽく、または茶色く変色する:スパッと切れずに引きちぎられた芝は、細胞の損傷が激しく、葉先が枯れ込みやすくなります。
- 刈り跡が綺麗に揃わない:バリカンを滑らせても芝が綺麗に刈れず、倒れてしまうだけだったり、何度も往復させる必要があったりします。
- モーターの音が以前より重く感じる:切れない刃で無理に刈り進めようとすると、モーターに過剰な負荷がかかり、異常音の原因となることがあります。
- バリカンが芝に引っかかる:スムーズに進まず、芝を噛んで引っかかるような感触が多くなります。
刃研ぎに必要な道具
ご家庭で刃研ぎを行う場合、以下の道具を準備することをおすすめします。
- ダイヤモンドヤスリ:バリカンなどの硬い鋼(はがね)を効率よく研ぐには、ダイヤモンドヤスリが最適です。まずは中目(#400程度)を一本用意すると良いでしょう。
- 万力(まんりき)またはクランプ:作業の精度と安全性を確保するために、刃をしっかりと固定する道具は必須です。
- 保護手袋・保護メガネ:言うまでもなく、手と目を守るための最も重要な装備です。
- 砥石(といし)または耐水ペーパー:研いだ後に発生する「バリ」を除去するために使用します。#1000以上の細かい番手が望ましいです。
- 清掃用具・潤滑油・グリス:前項で解説したメンテナンス用品一式。
作業前の安全確認と準備
刃の分解を始める前に、必ずバッテリーを本体から取り外してください。また、作業中に部品を紛失しないよう、白い布を敷いた上や、マグネット付きのパーツトレーの上で作業することをおすすめします。分解を始める前に、スマートフォンのカメラで各部の状態を撮影しておくと、組み立てる際に非常に役立ちます。
刃研ぎの具体的な手順
準備が整ったら、いよいよ作業に入ります。慎重に、一つ一つの工程を丁寧に進めましょう。
- 【刃の分解】
取扱説明書を参照し、本体カバー、そして刃を固定しているネジを外して、ブレードアッセンブリ(刃のユニット)を取り外します。ブレードアッセンブリは、上刃(うわば)と下刃(したば)の2枚が重なっています。これらも分解し、1枚ずつ研げる状態にしてください。この際、刃と刃の間にある金属製の薄い板「スペーサー」や、駆動を伝える「頭付ピン」といった、非常に小さく紛失しやすい部品があるので、絶対になくさないよう厳重に管理してください。 - 【刃の固定】
分解した刃のどちらか1枚を、万力やクランプを使って作業台にしっかりと固定します。刃が動くと怪我の原因になるだけでなく、正確に研ぐことができません。 - 【研磨作業】
ここが最も重要な工程です。ダイヤモンドヤスリを使い、刃の先端を研いでいきます。刃研ぎ成功の3つの秘訣
- 角度を絶対に守る:刃には元々、切れ味を最適化するための「刃角」がついています。ヤスリをその角度にぴったりと合わせ、研磨中に角度がブレないように細心の注意を払います。角度が変わってしまうと、切れ味が逆に悪化する原因となります。
- 一方向に押して研ぐ:ヤスリは「押す時」にだけ力を加え、引くときには刃から軽く浮かすか、力を抜いてください。往復させて研ぐと刃先が丸まってしまい、鋭い切れ味が出ません。
- 全ての刃を均等に:一つの刃(ギザギザの歯)につき、5回から10回程度、同じ回数だけ研ぐようにします。一部だけを研ぎすぎると、刃のバランスが崩れてしまいます。
- 【バリ取り】
刃を研ぐと、研いだ面の裏側に、削られた金属がささくれのように残ります。これが「バリ」です。バリが残っていると、刃の滑らかな動きを阻害するため、必ず除去します。砥石や耐水ペーパーの上に、刃の平らな面(研いでいない面)をぴったりと乗せ、軽く数回こするようにしてバリを取り除きます。 - 【清掃と組み立て】
全ての刃を研ぎ終えたら、研ぎカスを綺麗に清掃します。その後、前項で解説したグリスアップと注油を行いながら、分解した時と逆の手順で慎重に組み立てます。特に、スペーサーや頭付ピンを正しい位置に戻すことを忘れないでください。
正しく研磨された刃は、切れ味が復活するだけでなく、モーターへの負荷を減らし、バッテリーの持ちを改善する効果も期待できます。手間はかかりますが、その効果は絶大です。もし、ご自身での作業に少しでも不安を感じる場合は、無理をせず、安全で確実な「替刃への交換」を選択しましょう。
マキタ芝生バリカンの替刃について

前項で解説した刃研ぎは、道具を長く使い続けるための素晴らしいメンテナンス技術です。しかし、全ての状況で刃研ぎが最善の策とは限りません。刃に修復不可能なほどのダメージがある場合や、研磨作業に時間や自信が持てない場合、最も手軽かつ確実に新品の切れ味を取り戻す方法が「替刃への交換」です。これは単なる部品交換ではなく、「時間と確実性を買う」という、非常に賢明で合理的な判断と言えるでしょう。切れない刃を使い続けることのデメリットを考えれば、適切なタイミングでの替刃交換は、芝生とバリカン本体の双方にとって最良の選択となります。
替刃交換を判断すべき、4つの明確なサイン
「まだ研げば使えるかもしれない」と迷うこともあるかもしれません。しかし、以下のような明確なサインが現れた場合は、もはや研磨での回復は困難か、あるいは非効率です。思い切って交換を決断しましょう。
- 修復不可能な「刃こぼれ」がある
作業中に小石や砂利、金属フェンスなどに接触してしまった際にできる、刃先の欠け(チップ)です。小さな欠けであれば研磨で修正可能な場合もありますが、1mmを超えるような深い刃こぼれは、研磨で完全に除去しようとすると全体のバランスを大きく崩してしまいます。刃こぼれした部分では芝が切れずに引き裂かれるため、仕上がりが著しく悪化します。 - 金属内部まで進行した「深いサビ」
表面的な薄い赤サビとは異なり、金属の内部まで侵食し、表面がザラザラ、ブツブツになっているサビは、刃の強度そのものを低下させています。このような状態の刃は、研磨しても鋭い刃先がつかないばかりか、作業中に欠けてしまうリスクもあり危険です。 - 目視できる「刃の変形・歪み」
強い衝撃などにより、刃全体がわずかに曲がったり、ねじれたりすることがあります。上下の刃が精密に擦れ合うことで芝を切るバリカンにとって、刃の歪みは致命的です。歪んだ刃は正常な噛み合わせができず、芝を噛み込んだり、全く切れなくなったりする原因となります。 - 研磨を繰り返したことによる「刃の摩耗限界」
刃は研磨するたびに少しずつですが、確実にすり減っていきます。長年使用し、何度も研磨を繰り返した刃は、もはや正常な刃の形状や強度を保てなくなっています。研いでもすぐに切れ味が鈍るようになったら、それは刃が寿命を迎えたサインです。
切れない刃を使い続けるリスク
切れない刃を使い続けることは、単に作業効率が悪いだけではありません。引きちぎられた芝は病気にかかりやすくなり、過剰な負荷がかかったモーターは発熱し、バッテリーの消費を早め、最終的にはバリカン本体の寿命を縮めてしまいます。定期的な刃の点検と、適切なタイミングでの交換が非常に重要です。
なぜ「マキタ純正替刃」を選ぶべきなのか?
替刃を探すと、価格の安い非純正品(互換品)が見つかることがあります。しかし、長期的な視点と性能、そして安全性を考慮するならば、選択すべきは「マキタ純正替刃」一択であると断言できます。その理由は以下の通りです。
純正替刃を推奨する3つの理由
- 【品質】最適化された材質と設計:純正刃は、バリカンのモーター出力やストローク数に合わせて、最も性能を発揮できるように材質の選定(鋼の種類)、熱処理による硬度、刃付けの角度、そしてヤニの付着を抑える特殊コーティングなどが緻密に計算されています。この「最適化」こそが、純正品ならではの圧倒的な切れ味と耐久性の源です。
- 【精度】完璧な適合性とバランス:本体との取り付け寸法は当然ながら完璧に一致します。さらに、高速で往復運動する刃にとって重要な「重量バランス」も厳密に管理されています。精度の低い互換品は、このバランスが悪く、異常な振動を引き起こすことがあります。この振動は、作業者の疲労を増大させるだけでなく、本体のベアリングやモーターに深刻なダメージを蓄積させる原因となります。
- 【安全性】信頼できる品質管理:「安価な互換品を使ったら、すぐに刃が欠けて破片が飛んだ」という事例も報告されています。マキタの純正品は、厳しい品質管理基準のもとで製造されており、安心して使用できるという信頼性があります。「安全」をお金で買うと考えれば、その価値は計り知れません。
「安物買いの銭失い」という言葉があるように、目先の価格だけで互換品を選ぶと、結果的に切れ味が悪かったり、すぐに交換が必要になったり、最悪の場合は本体の故障につながったりと、かえって高くつく可能性が非常に高いのです。
替刃交換の手順と最重要ポイント
替刃の交換作業は、前項の「刃研ぎ」で解説した分解・組立の手順と基本的に同じです。ここでは、特に重要なポイントを改めて確認します。
- 【適合する替刃の確認】
まず、ご自身のバリカンの本体側面に記載されているモデル番号(例:MUM600D)を確認します。そして、そのモデル番号に対応した純正替刃の品番(例:特殊コーティング刃 A-51100)を、取扱説明書やマキタ公式サイトで調べて購入します。モデルによって適合する刃が異なるため、必ず確認してください。 - 【安全確保と分解】
バッテリーを外し、保護手袋を装着した上で、刃を固定しているネジを緩めて古い刃を取り外します。この際も、スペーサーなどの小さな部品を紛失しないよう細心の注意を払ってください。 - 【内部清掃とグリスアップ】
刃を外したこの機会に、普段は手の届かない本体内部のギア周辺を綺麗に清掃しましょう。そして、この記事で繰り返し強調している最も重要なポイントが、新しい刃を取り付ける前の「グリスアップ」です。古いグリスを拭き取り、新しいグリスをギアに適量塗布してください。これにより、新しい刃が最高の状態でスムーズに駆動し、内部機構も保護されます。 - 【新しい刃の取り付け】
新しい刃と全ての部品を、分解時と逆の手順で、取扱説明書を確認しながら正確に取り付けます。ネジの締め忘れがないか、最終確認を怠らないでください。
たったこれだけの作業で、あなたのバリカンは、まるで新品のような鋭い切れ味と快適な操作性を取り戻します。定期的な刃の交換は、快適な芝生管理を維持するための最も効果的なメンテナンスの一つです。
おすすめの芝生バリカン

「マキタの芝生バリカンが切れない」という問題の解決策として、メンテナンスや替刃交換について詳しく解説してきましたが、これから新たに芝生バリカンの購入を検討されている方や、現在お使いのモデルからの買い替えを考えている方もいらっしゃるでしょう。
市場には多種多様な芝生バリカンが存在し、どのモデルが自分の庭や使い方に最適なのかを見極めるのは簡単なことではありません。このセクションでは、これまでの解説を踏まえ、信頼性の高い主要メーカーから、特におすすめできる人気の芝生バリカンを具体的なモデル名を挙げて紹介します。それぞれの製品が持つ独自の強みや特徴を比較し、あなたの理想の芝生管理を実現するためのベストな一台を見つける手助けをします。
【王者の風格】マキタ 充電式芝生バリカン MUM600DSH (10.8V)
プロ用電動工具の世界で培われた圧倒的な技術力と信頼性を、家庭のガーデニングにもたらしてくれるのが、マキタのスタンダードモデル「MUM600DSH」です。軽量で取り回しの良い10.8Vスライド式バッテリーを採用しながらも、その切れ味はまさにプロ仕様。マキタならではのパワフルなモーターが、密集した芝生もスムーズに刈り進めます。
このモデルの特筆すべき点は、使いやすさを徹底的に追求した数々の機能です。刈った芝を集めて後片付けの手間を大幅に削減する「グラスレシーバー」、壁際ギリギリまで攻められる「キワ刈りガード」、そして刃の交換が工具なしで簡単に行えるツールレスブレード交換など、実際の作業で「あったら嬉しい」機能が標準で装備されています。さらに、刃にはサビやヤニが付きにくい特殊コーティングが施されており、メンテナンス性も非常に高いレベルにあります。既に同電圧のマキタ製品をお持ちの方なら「本体のみ」を購入できる経済性も、他の追随を許さない大きな魅力です。
こんな人におすすめ
- 既にマキタの10.8Vバッテリー資産がある方
- プロ仕様の切れ味と耐久性を家庭でも体感したい方
- 使いやすさとメンテナンス性を重視する方
【アイデアの宝庫】リョービ(京セラ) ポールバリカン PAB-1620 (コード式)
「芝生の手入れはしたいけれど、腰をかがめての作業は辛い…」そんな悩みを抱える方に、まさに救世主となるのがリョービ(京セラ)の「PAB-1620」です。このモデル最大の特徴は、何と言っても着脱可能な延長ポールが標準で付属している点。これにより、立ったままの楽な姿勢で、まるで掃除機をかけるような感覚で広範囲の芝刈りが可能です。
ポールの角度は5段階に調整できるため、ご自身の身長や作業場所の傾斜に合わせて、最も負担の少ない最適なポジションで作業を行えます。もちろん、ポールを外せば軽量なハンディタイプとしても使用できるため、一台で二役をこなす非常に優れた汎用性を誇ります。電源はコード式なので、バッテリー切れの心配なく長時間の作業に集中できるのも嬉しいポイント。リョービ(京セラ)ならではの「キワ刈りガイド」も搭載しており、利用者目線のアイデアが光る一台です。
こんな人におすすめ
- 長時間の作業による足腰への負担を軽減したい方
- ハンディとポールタイプの両方の利便性を一台で享受したい方
- バッテリーの充電管理を気にせず、パワフルに使いたい方
【コスパの優等生】アイリスオーヤマ 充電式ハンディバリカン JHC1210 (10.8V)
「まずは手頃な価格で、しっかり使える芝生バリカンを試してみたい」という入門者の方に、自信を持っておすすめできるのが、アイリスオーヤマの「JHC1210」です。コストパフォーマンスに優れた家電や生活用品で人気の同社ですが、そのノウハウはガーデニングツールにも活かされています。
このモデルは、初めて芝生バリカンを手に取る人でも直感的に操作できるよう、シンプルかつ軽量な設計が特徴です。しかし、性能は決して侮れません。10.8Vの十分なパワーを持つリチウムイオンバッテリーを搭載し、1回のフル充電(約60分)で最大約50分という長時間の連続運転が可能です。これは、同価格帯のモデルの中ではトップクラスのスタミナと言えるでしょう。芝生用のブレードに加え、庭木の簡単な剪定に使えるヘッジトリマー用のブレードも付属する「2WAY」仕様でありながら、非常にリーズナブルな価格設定は、まさに「コスパの優等生」の名にふさわしい一台です。
こんな人におすすめ
- 初めて芝生バリカンを購入する方、入門者の方
- 初期投資を抑えつつ、信頼できる性能を求める方
- 芝生だけでなく、庭木の軽い剪定も一台でこなしたい方
「草刈りバリカン」という選択肢も
もしあなたの庭が、芝生だけでなく雑草対策にも頭を悩ませているのであれば、「草刈りバリカン」という製品も視野に入れると良いでしょう。これは、芝生バリカンよりも長いブレードと、よりパワフルなモーターを備えていることが多く、背の高い雑草や茂みなどを効率的に刈り払うことを得意としています。一台で芝生から雑草まで幅広く対応したいというニーズにマッチする可能性があります。
ここで紹介したモデル以外にも、各社から様々な特徴を持った芝生バリカンが販売されています。ご自身の庭の広さ、電源の確保のしやすさ、そして何よりも「どのような芝生管理をしたいか」というビジョンを明確にして、後悔のない、最適なパートナーを選んでください。
マキタの芝生バリカン切れない問題の総まとめ
この記事では、「マキタの芝生バリカンが切れない」という問題の根本的な原因から、ご自身でできる具体的な解決策、さらには製品選びのポイントまで、網羅的に詳しく解説してきました。最後に、美しい芝生を維持し、愛用のバリカンを長く快適に使い続けるための最も重要なポイントを、リスト形式で総まとめします。
- 芝生バリカンの切れ味低下は、主に刃の摩耗、サビ、そしてヤニや土の固着が原因である
- 切れない刃を使い続けると芝生を傷め、バリカン本体のモーターにも過剰な負荷をかける
- 作業後は、刃に付着した芝の汁(ヤニ)が固着する前に、速やかに清掃する習慣が重要
- 清掃後には必ず刃物用のオイルを薄く塗布し、潤滑性能の維持とサビの発生を予防する
- 刃の交換や分解メンテナンスを行う際には、内部のギア部分に新しいグリスを補充することが不可欠
- 切れ味が鈍ってきたら、ダイヤモンドヤスリを使って刃を研ぎ直すことで切れ味は復活する
- 刃を研ぐ際は、元々の刃の角度を厳守し、全ての刃を均等に、一方向へ研ぐことが成功の秘訣
- 分解時には、スペーサーや頭付ピンといった非常に小さな部品を紛失しないよう細心の注意を払う
- 深い刃こぼれや修復不可能なサビがある場合は、研磨ではなく替刃への交換が最も確実で安全な選択
- 最高の性能と安全性を得るために、替刃は価格だけで選ばず、信頼性の高いマキタ純正品を選ぶことを強く推奨
- バリカンが突然動かなくなった際は、故障と断定する前に、まずバッテリーや電源系統、異物の噛み込みを入念に確認する
- バリカン選びでは、マキタの強みである「バッテリーの汎用性」と、リョービ(京セラ)の「コストパフォーマンス」が大きな比較軸となる
- マキタのMUM600DSH(10.8V)とMUM601DSH(14.4V)の主な違いは電圧であり、手持ちのバッテリー資産や求めるパワーに応じて選択する
- 立ったままの楽な姿勢で作業したい場合は、延長ポールが付属するモデルが身体的負担を大幅に軽減する
- 日々の基本的な手入れこそが、結果的に修理や買い替えのコストを抑え、道具の寿命を延ばす最も効果的な方法である
あなたの芝生バリカンは、適切なメンテナンスを行い、愛情を注ぐことで、その性能を最大限に発揮し続けてくれます。この記事で得た知識を活用し、快適で美しい芝生管理を実現してくださいね。
こちらの記事では住宅購入に関する疑問や課題について解説していますので、ぜひ参考にしてください。